この記事を書いた人
- 2021年~ アーリーリタイア(FIRE)
- 50代 4人家族 愛知県在住
- 純金融資産は1億円台
- 住宅ローンは9年間で完済
- 投資歴は約20年
※資産形成の詳細はプロフィールを参照ください。
目次
はじめに
前回記事では、エクシブ会員権の概要についてお話しました。 そこで今回は、具体的にどの会員権を買うべきかについて考察したいと思います。 ただし万人にとって共通のベストは存在しないので、あくまで個人の特性に合わせ選択することになります。 会員権を購入する上で、気にすべき点は主に次の3つです。 ・グレード ・26泊か13泊か ・ホテルの場所 それでは、これらの3つのポイントについて考えていきます。
グレード
まずは中古会員権の価格について見てみます(2023年9月現在)。旧エクシブはスタンダード(A)グレードは30万円~あるようです。
旧エクシブ
グレード | 価格 |
---|---|
スタンダード(A) | 30万円~ |
ラージ(C) | 70万円~ |
スイート(E) | 250万円~ |
スーパースイート(S) | 600万円~ |
新エクシブの会員権は一番安いスタンダード(CB)でも140万円~となっています。新エクシブのCBは旧エクシブのスタンダードとラージの中間的位置づけとされています。しかし価格的には旧エクシブのラージ(70万円~)よりもだいぶ割高なようです。
新エクシブ
グレード | 価格 |
---|---|
スタンダード(CB) | 140万円~ |
ラージ(EC) | 290万円~ |
スイート(SE) | 570万円~ |
スーパースイート(S) | 600万円~ |
これに加えて、ベイコート倶楽部も中古会員権がボチボチ流通しています。 12泊タイプではこんな感じです。新エクシブのCB(140万円~)と比べても2倍以上割り高です。
ベイコート倶楽部
グレード | 価格 |
---|---|
ベイスイート | 320万円~ |
ラグジュアリースイート | 850万円~ |
ロイヤルスイート | 1000万円~ |
運営会社であるリゾートトラスト社のブランドは大きな括りで次のような変遷となっています。
旧エクシブ→新エクシブ→ベイコート倶楽部→サンクチュアリーコート
価格もこの変遷に沿うように高くなります。
旧エクシブ<新エクシブ<ベイコート倶楽部<(サンクチュアリーコート※)
(※サンクチュアリーコートの中古会員権はまだ流通していない) 価格を重視するのであれば、旧エクシブが有利であることは間違いありません。 エクシブ会員権の“不都合な真実”になりますが、会員権価格は必ず下落します。 例えば過去の新規会員権(例:芦屋ベイコート倶楽部)を見てみると、
【新規会員権価格】 ・ベイスイート(12泊)900万円 ・ラグジュアリースイート(12泊)1500万円 ・ロイヤルスイート(12泊)2000万円 となっています。 中古会員権の価格と比べてみると、ほぼ半額になっていることがわかります。 芦屋ベイコート倶楽部は2018年開業なので比較的新しいこともあり、更にまだ下落の余地はあるように思えます。 つまり新築マンションが大きく値下がりするように、エクシブも新しいホテルほど価格の下落が大きいといえます。 またエクシブ会員権というのはペーパーアセットではなく、不動産を所有するリアルアセットに近いので、流動性が低くすぐに売れるわけでもありません。 わざわざリスクをとってまでリゾート会員権を購入する必要があるのか心配になります。 しかしもしも、価格下落リスクが小さければどうでしょう。 その答えの一つが旧エクシブの会員権です。 旧エクシブの会員権は、過去10年を遡って調べる限り、どのグレードもほぼ価格は変わってなく、落ち着いています。 旧エクシブは1987年のエクシブ鳥羽本館から始まり、2006年のエクシブ京都八瀬離宮までのものになります。20年〜30年以上の年月を得ている為、価格が十分に熟成されているとも思われます。 つまりエクシブの会員権は古いものほど価格の下落リスクが小さく、新しいものほど下落リスクが大きいと言えるでしょう。 それでは価格が安い旧エクシブを買えばよいのかというと、必ずしもそうではありません。エクシブ会員権はグレードで分かれている為、個人の目的にあったものを選ばなければ、残念な買い物になりかねないからです。 それでは会員権のグレードについて見てみましょう。縦軸をホテルの部屋のタイプ、横軸を会員権のグレードに表にまとめました。
青色のセルが利用可能なホテルのグレードです。 青色の面積が多い上級グレードの会員権ほど、利用できる選択肢が増えるということがわかります。 表の見方の例として、旧エクシブのAグレードの会員権について見てみます。Aグレードだと新旧エクシブのスタンダード、そしてサンクチュアリコートのクラブスイートに宿泊することが可能です。しかし残念ながらベイコート倶楽部は利用することができません。大きな部屋を求めず、ベイコート倶楽部を利用しなくても構わない人にとっては、Aグレードは格安なのでお薦めですが、そうではない場合は残念な買い物になってしまいます。 またグレードを選ぶ際には予約の取り易さも重要になってきます。 例えばスタンダードのお部屋だと、エクシブ会員よりも下位となるサンメンバーズ※の会員でも予約できます。また法人の福利厚生ともかぶります。そのうえ上位のグレード会員も予約できてしまうことから、激戦区となり予約が取りづらくなります。 (※サンメンバーズ:エクシブの前身の会員権で中古価格10万円程度で取引されています。) つまりサンメンバーズや旧エクシブのAグレードは価格面で優位ではあるものの、予約が困難であることから機会損失を考えると、コスパが良いとは必ずしも言えないわけです。 またリゾートトラスト社の今後の動向も踏まえると、サンメンバーズは今後の主力ブランドであるサンクチュアリーコートの利用ができないことから、将来は明るくないと思われます。上級グレードを優遇し下位のグレードとの差別化を図る戦略は、富裕層ビジネスのやり方としては合理的かもしれませんが。。 このような背景をふまえるとCグレードあたりが購入すべきエントリーモデルになるのではないでしょうか。
26泊か13泊か
グレードとともに、考える必要があるのは宿泊数です。 つまりノーマル(26泊)にするか、バージョンZ(13泊)にするかです。 ほとんどの人が通常は仕事をしている訳ですから、26泊も必要ないので13泊でいいと思われるかもしれません。 しかしここに、見過ごせないルール上の落とし穴があります。それは宿泊する権利が限定されていることにあります。具体的にいうと、ゴールド、レッド、ホワイト、ブルーというように権利が分けられているのです。 ↓↓↓エクシブのカレンダー例
カレンダー例をみると、正月三ヶ日がゴールドとなっています。このように特別なハイシーズンである正月や夏休みなどはゴールドの宿泊権利が必要であることを意味します。 そしてその次に宿泊需要が高い土曜日はレッドとなります。このようにゴールド>レッド>ホワイト>ブルーの順で宿泊権利が序列化されているのです。 一般的にはおそらくゴールドとレッドしか使えないという人が多いのではないでしょうか。つまり大多数の人が、ブルーやホワイトを使う為には有給休暇を取るはめになります。 ただし、フローティング予約※という制度があるので、人気のないホテルや突然キャンセルがでた部屋をブルーやホワイトの権利でレッドの日(休日前日)に宿泊することは可能です。 (※フローティング予約:1カ月前までに占有日利用の申し込みがない部屋は、先着順で予約することができる制度。) それではバージョンZ(13泊)でどのくらいゴールドとレッドが一年に割り当てられるかというと、ゴールドが1〜2日、レッドが3〜4日、残りはホワイトとブルーです。 つまりバージョンZ(13泊)では正月や夏休みで1〜2泊、土日で3〜4泊しかできないのです。けっこう厳しいですよね。 これだと少ないので、ノーマル(26泊)を選択するという人もいると聞きます。 ただし26泊となるとゴールドやレッドが倍になる代わりに、会員権価格も2倍程度になるので、かなりの高額になってしまいます。その場合、グレードを下げて泊数を増やすといった検討も必要になってきます。 先日エクシブ会員権の仲介業者と話す機会がありましたが、一般サラリーマンの家庭では、この宿泊権利を使いこなすのは難しいだろうと言っていました。平日利用ができないと元がとれないという考え方かもしれませんが一理あります。エクシブ会員権は料金コストの高さもさることながら、柔軟に使える時間の問題が一番大きいのかもしれません。
ホテルの場所
エクシブ会員権を持っていれば、グレードの範囲内でどのホテルでも宿泊することが可能です。この為、同じグレードであれば最も安いホテルの会員権を購入することが最もコスパのよい買い物といえそうです。 しかし、オーナーとなるホテルにこだわって買う理由も存在します。 というのもオーナー限定のお得なキャンペーンが随時開催されており、レストランや宿泊などで割安に利用することができるからです。 ↓↓↓キャンペーン例
このようにオーナーならでは特権を利用することもコスパを考える上では重要になってきます。
旧エクシブのEグレード バージョンZ会員権を購入した理由
人それぞれ置かれている環境によって、購入するホテルやグレードそして泊数の検討内容が変わってきます。 せっかく高いお金を払ってリゾート会員権を買うのなら、自分にとっての最適解を見つける必要があります。 それではなぜ僕が旧エクシブ Eグレード バージョンZ(13泊)の会員権を購入したのか、事例として参考になるかもしれないので、ここでご説明します。 僕の要件はおもに下記の3つに集約されます。 (要件) ・FIRE済の為、平日でも宿泊することが可能。 ・学生の子供がいる。 ・ゆったりと贅沢を楽しみたい。 FIREの特権でもありますが、時間だけは自由に使えます。つまり平日でもエクシブを利用することが普通にできます。というか混雑する週末を避けて平日に使いたいくらいです。 したがって平日のブルーの権利を有効に活用することができます。この為、バージョンZ(13泊)を余すところなく利用できそうなので、敢えて高額なノーマル(26泊)を購入する必要がないと判断しました。 また我が家には学生の子供が2人いる為、家族4人でゆったり宿泊したいという要望があります。エクシブの部屋はスタンダードでも30平米以上なので、4人でも泊まれなくはないですが、ワンルームの中では窮屈ではあります。 2部屋予約する手もありますが、せっかくなら一つの部屋で家族団らんを過ごしたいものです。 その点、スイートルームであれば最低でも70平米以上の広さがあり、リビングとベッドルーム(場合によっては2ベッドルーム)が分かれているので、ゆったりと過ごすことができます。 さらにスイートルームだと、トイレとバスルームがほぼ別々になっています。(旧エクシブのワンルーム型ではユニットバスになっている場合があり、せっかくのリゾート気分を損なってしまいます。) このような理由から、スイートルームを利用できる旧エクシブのEグレードを諸費用込みで約300万円で購入しました。維持費となる年会費・固定資産税は税込で年間8万円以下です。(僕が購入したホテルはかなり古い会員権なので、まだ維持費は安いほうです。通常Eグレードだと年間10万円以上はかかります。) 本来、贅沢を楽しむならスーパースイートルームが利用できるSグレードがベストではありますが、バージョンZ(13泊)の最も安い会員権でも諸費用込みで600万円以上、年会費は12万円以上するので、今回は見送りました。
エクシブのコスパ
僕が購入したEグレードのコスパについて少し考察を加えてみます。 Eグレードは新旧エクシブのスイートかベイスイート倶楽部のラグジュアリースイートに宿泊できます。 比較的新しいリゾートトラスト社の施設を、Eグレード相当のスイートに絞って、いくつか挙げるとこんな感じです。なお料金はルームチャージ制です。
エクシブ鳥羽別邸 | スイート | 25,300円~ |
エクシブ箱根離宮 | スイート | 24,750円~ |
横浜ベイコート倶楽部 | ラグジュアリー スイート | 51,975円~ |
エクシブだと2万5千円程度でスイートルームに宿泊することが可能です。 横浜ベイコートの料金が一段高額な理由は、2ベッドルームを選んだことと、エクシブ会員は若干割高な料金設定になっている為です。 4人家族で宿泊した場合、この宿泊料金を元にすると、エクシブの鳥羽別邸や箱根離宮で一人あたり約6千円。横浜ベイコートでは一人あたり1万円3千円となります。 スイートルームの観点で他のホテルと比較してみるのも面白いと思います。 例えば横浜ベイコート倶楽部はとても参考になるかと思います。なぜなら同じ建物内にリゾートトラスト社がザ・カハラホテル&リゾート 横浜という一般客を対象としたホテルを経営しているからです。つまり姉妹関係なので比較をするには絶好のサンプルになるというわけです。 ↓↓↓「一休」で調べた結果、ザ・カハラホテル&リゾート 横浜の同等グレードの宿泊料金は22万5千円。
横浜ベイコートと比較すると、17万円ほどザ・カハラ横浜のほうが料金が高いようです。 前述したとおり、スイートグレードのエクシブ会員権(12泊)の年会費は12万円程度です。5万円の宿泊料金を足しても17万円となり、ザ・カハラ横浜より5万円安いという計算になります。 <なお、その他のハイクラスホテルのスイートルーム(100平米レベル)もいくつか見てみましたが、20万円以上の価格設定は普通です。> どうやらスイートルームの観点からは、エクシブ会員権のコスパは良いと言えるようです。 逆にスイートルーム以外のワンルームタイプで比較すると、コスパは落ちるかもしれません。価値観は人それぞれですので、別の観点を探してコスパを検討するのも面白いかもしれませんね。
最後に
最後に少しだけ、出口戦略を含めたコストについて、僕の考えをご紹介します。 今回エクシブ会員権購入においては、中古会員権料金+諸費用でトータル300万円程かかりました。 エクシブ会員権の中ではそれほど高額な部類ではありませんが、庶民にとっては勇気がいる買い物です。 僕が購入を決断できたのは、普段株などの投資に慣れていることが理由の一つとして挙げられます。一応今回の“投資”も今後の動向を踏まえて考えているつもりではあります。 会員権価格が今後中古市場でどうなるかわかりませんが、僕の中では恐らく値上がりすることはあっても値下がりはしないだろうという前提でいます。その理由として、デフレ経済からインフレ経済へ移行すると予想していること、そしてインバウンドによる日本の旅行産業の活性化が続くと考えているからです。 僕の予想が当たるかはともかくとして、仮に会員権料金が過去10年同様に値下がりしなければ、最終的にかかるコストは諸費用と毎年かかる年会費や固定資産税のみということになります。 このことを踏まえて、今回購入した会員権のコストについて計算してみます。 諸費用については、買う時には60万円程度、売るときに20万円程度かかると見積もっています。したがって会員権売買にかかるこれらの諸費用の合計は80万円になります。 ケーススタディとして20年後に会員権を売却した場合について計算してみます。会員権価格は買値と売値が同額という条件なので計算は割愛します。諸費用に加え、年会費と固定資産税の合計が約8万円なので、これを踏まえると、 <諸費用80万円+年会費(8万円×20年)=240万円> 20年間のエクシブ会員権のコストは240万円ということになります。 これを月額に直すと、240万円÷20年÷12カ月=1万円 つまり年に13泊できるリゾート会員権を月額1万円のコストで維持するという計算です。 FIRE民は時間だけは沢山あるので、エクシブを使い倒すことも難しくなく、十分に元が取れるという算段です。 それから感覚的ですが、別荘の管理費のようなものとして、このコストを捉えています。昔から別荘には憧れがあったことから、支出することには抵抗はないです。 コスパについては今後の運用を踏まえてゆっくり観察していきますが、購入したからには一旦お金のことは忘れて、ゆっくりスローライフが楽しめれば、それでよいと思う次第です。 了
エクシブ会員権購入記(その1)なぜエクシブなのか
【はじめに】 先日リゾートクラブ会員権であるリゾートトラスト社の「エクシブ会員権」を購入しました。 選んだのは旧エクシブの「スイートグレード(E) バージョンZ…
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