この記事を書いた人
- 2021年~ アーリーリタイア(FIRE)
- 50代 4人家族 愛知県在住
- 純金融資産は1億円台
- 住宅ローンは9年間で完済
- 投資歴は約20年
※資産形成の詳細はプロフィールを参照ください。
目次
はじめに
今回は国策テーマをETFで攻略できないか考えてみました。
「国策(政策)に売りなし」という株の格言があります。 ご存じのように東証は2022年4月に市場区分を見直し、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場を新たに設立しました。 東証はこの見直しによる効果が期待どおりに進んでいるのかをフォローアップ会議で議論しています。 今年に入って熱い論議となっているのが、低PBR株(PBR1倍割れ)企業が多すぎるという問題です。
PBR1倍割れ企業1800社、なぜ東証が改善要請? イチからわかる金融ニュース – 日本経済新聞
東京証券取引所は、プライム市場とスタンダード市場に上場する約3300社を対象に、株価水準を分析して、改善するための具体策を公表するよう要請しました。特に問題とみてい…
現在、プライム市場においては約5割、スタンダード市場では約6割の銘柄がPBR1倍を割っているようです。 そしてこの話題が取り沙汰されるようになって、市場には一部ポジティブな変化がでてきています。 例えば実際にPBRを1倍以上にするといった宣言をする企業がちらほらと出てくるようになり、市場の注目を浴びています。 国策のニュースが出た時には、バカになって買うのが基本なので、僕も現時点でポートフォリオの10%の資金をこのテーマに投入しています。 毎日少しずつ個別銘柄を買ってる訳ですが、最近では20銘柄を超えてしまい管理が大変になってきました。 そしていっそのことETFがないか、東証ETFを調査しましたが、残念ながら低PBR銘柄に特化した都合のよいETFは無いようです。 そこで視点を変えて、PBRは業種によって平準化される傾向があるので、低PBR業種のETFを買えば今回の問題は解決するのではと考えました。 そこで今回は、PBR1倍割れの業種は何なのか、そしてそれに対応する業種ETFについて調べてみました。
PBR0.8倍割れ業種
スクリーニング条件
プライム市場を対象に加重PBRで0.8以下の業種をスクリーニングしました。 なぜ0.8以下にしたかというと、PBR1倍がゴール(利確ポイント)とすると、伸びしろがある程度あった方が良いと考えたからです。 また単純PBRではなく加重PBRを採用したのは、後で紹介する東証ETFがTOPIXベースだからという理由です。TOPIXは加重平均を採用しているので、それに合わせました。(ちなみに日経平均は単純の方です)
東証ETF
スクリーニング結果をもとに、東証の業種別ETFを当てはめると下記のようになります。 野村アセットマネージメントのNEXTFUNDS TOPIX17シリーズが業種別ETFをラインナップしています。 どのETFも信託報酬料は一律0.352%ということで、まずまずリーズナブルな手数料ではないかと思います。 当ETFは2008年に作られ今日に至っているという点で、実績的には問題ないと思います。ただ純資産はそれほど大きくはありません。
業種 | 銘柄コード | 純資産 |
---|---|---|
石油・石炭 (エネルギー) | 1618 | 18.7億円 |
銀行 | 1631 | 24.5億円 |
証券・保険 (金融) | 1632 | 10.7億円 |
電気・ガス | 1627 | 13.8億円 |
鉄鋼・非鉄 | 1623 | 6.2億円 |
倉庫・運輸 (運輸・物流) | 1628 | 18.7億円 |
※一部の業種で、ETF名と整合性が取れていないところもあります。上段にスクリーニングした業種名を、下段カッコ内にETF名を記入しています。
各ETFのパフォーマンス
直近1年のパフォーマンス
業種 | 銘柄コード | パフォーマンス |
---|---|---|
石油・石炭 (エネルギー) | 1618 | 5.2% |
銀行 | 1631 | 19.17% |
証券・保険 (金融) | 1632 | 5.73% |
電気・ガス | 1627 | 6.86% |
鉄鋼・非鉄 | 1623 | 19.39% |
倉庫・運輸 (運輸・物流) | 1628 | 14.26% |
直近一年間のパフォーマンスをみると、<1位>鉄鋼・非鉄<2位>倉庫・運輸<3位>銀行となっています。 この3業種はTOPIXを大きくアウトパフォーマンスしています。(見にくいですが、赤と緑のローソク足がTOPIX指数です) 一時、銀行は圧倒的なパフォーマンスを出していましたが、最近の米国金融不安の影響で下げています。 そしてこの3業種に限らず他の業種も概ねしっかりした内容となっており、TOPIXと比較しても見劣りしません。やはり国策の影響は少なからずあるのではないでしょうか。
直近1カ月のパフォーマンス
業種 | 銘柄コード | パフォーマンス |
---|---|---|
石油・石炭 (エネルギー) | 1618 | 2.04% |
銀行 | 1631 | -4% |
証券・保険 (金融) | 1632 | -2.54% |
電気・ガス | 1627 | 2.48% |
鉄鋼・非鉄 | 1623 | -0.53% |
倉庫・運輸 (運輸・物流) | 1628 | 3.75% |
直近一カ月のパフォーマンスをみると、<1位>倉庫・運輸<2位>電気・ガス<3位>石油・石炭となっています。 銀行や金融は米国の金融不安があって、TOPIXをアンダーパフォームしています。
おわりに
PBR0.8倍以下の業種ETFを見てきましたが、やはりどの業種も国策の影響によって良いパフォーマンスを出しているようです。 国策テーマは“賞味期限”があるので、どこまで好調を維持できるか見守りたいですね。 そして僕もこの業種別のETFを実際に買っています。銘柄は直近で調子のよい3つのETF<1618>石油・石炭(エネルギー)、<1627>電気・ガス、<1628>倉庫・運輸(運輸・物流)>です。 ただし、このまま“ガチホ”ということではなく、雲行きが怪しくなったら即飛び降りるスタンスでいます。 日本固有の問題もさることながら海外の影響も大きく株価を左右するので、特に米国のリセッション懸念はとても気になります。 ただ今回ご紹介した銘柄はもともと割安ですし、過熱しすぎている訳でもないので、ある程度安心感をもって取り組めると思っています。 了
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