この記事を書いた人
- 2021年~ アーリーリタイア(FIRE)
- 50代 4人家族 愛知県在住
- 純金融資産は1億円台
- 住宅ローンは9年間で完済
- 投資歴は約20年
※資産形成の詳細はプロフィールを参照ください。
目次
はじめに
米国S&P500は昨年10月12日を大底に20%以上上昇し、今年6月9日にブル(強気)相場入りしました。 米国株のアノマリーで、底値から20%以上上昇すると上昇トレンドが継続するという経験則からブル相場と呼ばれます。
【米国市況】S&P500強気相場入り、ハイテク上昇-ドル138円台後半
8日の米株式相場は上昇。ハイテク銘柄が上げをけん引した。朝方に発表された先週の新規失業保険申請件数は急増し、増加幅は市場予想を上回った。
しかしながら、ファンダメンタルズやマクロ指標の観点から現在の米国株の相場をみると、このブル相場の到来は不可思議この上ない気もします。 例を挙げると、
- 高止まりするインフレとFEDのタカ派的な引き締め政策
- 長期短期の国債が逆イールドを形成
- ISM製造業景況指数が50以下
- 企業決算のEPSが低下傾向
- 景気先行指数(LEI)が10カ月以上連続マイナス など・・・
これらの指標のネガティブな兆しは、過去のリセッションでは必ず見られたものであり、有識者からはほぼ間違いなくリセッションは起こるだろうとされています。 確実なリセッションの先行指標であるこのような「炭鉱のカナリア」たちが鳴くかたわらで、あれよあれよと株価が上昇しているのは、プロのエコノミスト達やトレーダーも悩まされていることでしょう。 “This time is different.=今回は違う”というテンプルトン卿の戒めるべき言葉が頭をよぎります。 20%以上上昇しブル相場に突入後、更に下落を続けた例が過去になかった訳ではありませんが、まずはブル相場に入ったことをリスペクトした上で、ポジティブシナリオとしての今後の見通しをしてみたいと思います。 もちろんもう一つのシナリオであるベア相場(2022年〜)が続く可能性も十分残されている為、あくまで参考程度に読んでもらえれば幸いです。
ブル相場の観察
足元のチャート(2022年~現在)
2022年10月12日を大底に現在(2023年6月23日時点)で、S&P500は23%上昇しています。
超長期チャート(世界大恐慌~)
まずは超長期チャートで、世界大恐慌から現在までの米国株のトレンドを確認したいと思います(対数チャートを使います)。 赤色のチャネルラインが超長期のトレンドとなります。米国株は約50年この右肩上がりのチャネルの中で推移していることがわかります。 (ラインの引き方は人によって違うと思いますが、僕はローソク足の実体を基本的になぞります。そして最も当てはまりそうな角度のラインをざっくりと引きます。) そして現在の株価はチャネルのやや上半分の位置にいます。 私見ですが、ブル相場に入ったことにより、おそらくこのチャネルの角度よりも右肩上がりの角度で株価は上昇していくのではないかと考えます。
超長期チャート(GFC~)
次に2009年GFC(リーマンショック)の底打ちからの上昇トレンドを見てみます。 緑色のラインをトレンドラインとしてます。 前出の超長期チャートよりも右肩上がりの傾斜が強くなっています。 個人的にはこのトレンドラインの角度で株が上昇していくのではと考えています。
過去のブル相場との比較
米国株がブル相場に入った時の過去の実績は下記のツイートのとおりです。 過去平均では半年後にプラス10%、一年後にプラス17%のリターンとなっています。 今回も過去同様に株が上がってくれると嬉しいですが・・・
もう一つ、別の角度でのデータです。 年の前半で10%以上株が上昇していた場合、後半も引き続き中央値で10%上昇する。というものです。
またブル相場の持続期間ですが、平均で1011日、中央値で522日続いています。今回ブル相場になった6月9日の時点で233日経過しています。まだ半年はよい相場環境かもしれません。
景気循環からの観点
ブル相場が始まったばかりであれば、テクノロジー株、工業株、素材株などのシクリカル系銘柄が狙い目かもしれません。実際足元もこれらのセクターが強い状況にあります。
おわりに
過去のブル相場のデータに照らすと、半年後に10%、一年後に17%のリターンが期待できます。 しかしこれから来年にかけ、リセッションという魔物が待ち構えているのも事実です。 通常リセッションとなった場合、株価は30%以上のドローダウンに遭遇します。 ただし今回は昨年(2022年)既に20%以上株価が暴落したばかりです。すでに値幅調整は終わったのではないかとも考えられます。 株価は半年~1年先を読んで動くと言われるので、既にリセッションは織り込み済ではないかということです。 個人的には、現在の相場はウォールストリートの格言にある「心配の壁」をよじ登っているフェーズではないかと思い、株のポジションを高めにしています。 もちろんそれを過信するのは大変危険ですので、あくまでフラットでありつつ、少しバイアスをかけて相場を見ています。 僕はリーマンショックの頃に、自分の思い込みで財産を失いかけたこともあるので(関連記事はこちら)、慎重さは忘れないようにしたいと思っています。 いっぽうで新たな相場が芽生えているとしたら、千載一遇のチャンスといえるので、その可能性が否定されるまでは強気でいこうと考えています。 了
コメント